―電気について―
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第7回:電気もいろいろ/その1(00/12/12)

  さて今回から「電気について」のシリーズに入りますが、仕事がスポット溶接機にからんでいるため、電気について多少かじっているとはいえ、半分素人ですから学問的に正しく書く能力はありません。 ということでやや風変りな中身になるかもしれませんが、そこはご容赦ください。


  では本題に入りますが、まず最初に電気の種類を大きく二つに分けてみましょう。

1:自然界に起こる電気です。

  一番身近なのが静電気、服を脱ぐときにパチッとくるやつ、大きいのではもこの一種ですね。 そして人間の体も実は微細な電気の流れでコントロールされています。

2:人工的に作り出された電気です。

  そしてその直接の目的は、(1)エネルギー源に使う、(2)信号に使う、(3)エネルギーと信号に同時に使う、の三つあります。言いかえると、電源用通信用駆動用、ということになります。

  電気を水に例えると、雨水が自然に流れ込んで出来たのようなものが静電気で、貯まり過ぎて決壊したのがパチッとくるやつです。一方、人工的に流し込んで貯水したものがバッテリーです。
  どちらにしても貯まったままでは何事も起こらず、水門を開けて流れを作って初めて何かが起こり、この水の流れに相当するのが電流です。
  そして同じ貯水槽でも、水がいっぱい貯まっているときには下のコックを開けたとたん勢いよく水が飛び出しますが、少ないときはちょろちょろっとしか出てきませんね。水圧が違うからなのは誰でもわかると思いますが、この水圧に相当するのが電圧です。
  つまり電流は量の単位電圧は力の単位ということになります。

  あまりいっぺんにたくさん書くと私も混乱するので、このタイトルは二回に分けて、続きは次回にいたしましょう。

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第8回:電気もいろいろ/その2(00/12/12)

  前回に続き、人工的に作り出された電気の三つの目的別に話を進めていくことにします。

  さて、(1)のエネルギー源に使う電気ですが普通は電源と言い、直流交流の二つの種類があります。 なぜ二種類あるのかは別の回でお話しますが、持ち運んで使う小規模の用途や特殊な目的には直流、電線で引き込んで固定して使う一般用途に交流が使われます。
  水に例えると、上のバケツの水をホースを使って下のバケツに流し込むのが直流です。水を満たした二本の注射器の先をチューブでつなぎ、一方のピストンを押したり引いたりするともう一方のピストンが出たり入ったりしますが、このチューブ内を往復する流れが交流に相当します。

  直流のことを記号でDC(Direct Current)、交流のことをAC(Alternate Current)と書きます。

  そしてこの電源用の交流は電圧の大きさによって、発電所に近い側から特別高圧、高圧、低圧に分けられ、変電施設を通過しながら順に電圧を落としていきます。
  感電してもめったに死なない程度の電圧が低圧で、末端の色々な機器に直接引き込まれ、何らかの処理を経て、(2)の信号用や(3)の駆動用に形を変え、目的の用途に使われます。
  特別高圧は遠距離の送電に、高圧は近距離の送電のための電圧で、そのままで使われることはなく低圧に落としてから使います。大雑把に言うと、特別高圧が何万ボルト、高圧が何千ボルト、低圧が何百ボルトの桁数で更に細かく分けられています。
  交流電源は公共的なものですから、電圧や接続器具が規格統一され、間違って使われないようになっています。ただし国が変わるとそうはいきません。
  また、皆さんお気づきでしょうが、家や事務所の電気は線が2本なのに、工場のモーターは線が3本入っていますね。それに日本の場合、歴史的ないきさつで周波数が西の60サイクルと東の50サイクルに分かれている不便さがありますが、これらについては別の回で書くつもりです。

  (2)の通信に使う電気ですが、AからBへデータを伝えるのが目的ですから、電気の流れは目まぐるしく変化していて交流とか直流とかで分けることはしません。いちばん肝心なのは内容が正確に伝わることですから、それさえできれば電流は少なければ少ないほど経済的に色々と都合がよくなる理屈です。
  デジタル方式が普及してからは、この方面の費用対効果の割合が毎年毎年とび抜けて進歩してきましたが、この辺はアナログ方式と合わせてまた別の回でお話いたします。


  (3)の駆動に使う電気ですが、目的は何かを働かせることですから、働くためのエネルギーと、働く内容を決めるための信号的役割の二つが混ざっています。
  具体的な例をいくつか挙げてみましょう。
  • ほとんど電源に手を加えず、ただスイッチで入り切りするだけの普通の照明やモーターに入る電気
  • 交流の周波数を変化させてモーターの回転を上げ下げするインバーターで制御された電気
  • 電流を複雑に変化させて、スピーカーを鳴らしたり画面を動かしたりする電気
  • 精密で素早い移動や停止をさせるモーター(工作機械などに使う)に送る高速でオンオフする電気
  今回、やや網羅的になり面白くなかったでしょうか? このあとのタイトルは筆者の思いつきだけで進めて行きますので順序はありません。


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第9回:電気がこわい/第1話(01/01/09)

  誰でも一度や二度は、ビリッときて冷や汗をかいたことがあるのではないでしょうか? これに懲りて二度と触りたくないと思っている人は沢山いるのですが、犯人は電圧なんです。 おなじみの家庭用の電圧が100Vなのは誰でも知ってますね。次に高い電圧が一般の工場動力に使われる200V、次が大きい工場で使われる400Vで、大体この三種類が低圧といわれています。 前回書きましたように、低圧で死ぬことは殆どないのですが、感電のショックは電圧によってかなり違います。ぬれているかどうかもありますが、大まかに言うと低い電圧の場合は「ビリッ」、もう少し高くなると「ドンッ」とはじかれる感じ、高圧にもなるとしびれてくっついたまま離れられなくなります。 こわい話はこの辺にして、なぜこんな危ない高圧を使うのでしょうか? 乾電池くらいだったら何の心配もいらないのに・・・。

理由は一つ、「電線が細くてすむ」、たったこれだけです。つまり、そのほうが安くついて経済的になるということです。近くの鉄塔を走っている高圧線をもし家と同じ100Vにしたら、直径1メートルの電線でも足りないかもしれません。何百件何千件の家や工場で使う電気をまとめて送ってますからものすごいエネルギーなのは想像できるでしょう。

 エネルギーの大きさは電気の場合、

    電圧:ボルト)×電流:アンペア)=エネルギー:ワット)

で表すのはたしか中学の理科の時間に習いましたね。電圧を100倍にすると、100分の1の電流で同じエネルギーが運べる理屈です。ある太さの電線に流せる電流の大きさには限界があり、細い川にたくさん水を流せないのと同じように考えて間違いありません。出来るだけ細い電線で沢山のエネルギーを運ぶには電圧を高くして電流を少なくするしか方法がないのです。そのかわり、危ない高圧はできるだけ離れた高いところを走らせ、使う手前で変圧し(電柱の上に付いているねずみ色のトランス=変圧器がこの役目)安全な低圧に落としてから家に引き込むようにしている訳です。


ということで、今回はいやな経験を思い出させてしまいました。


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第10回:電気がこわい/第2話(01/01/17)

  前回ビリッとくる感電の犯人は「電圧」といいましたが、正確に言うと「電流」という実行犯がもう一人いるのです。
  第7回で電流が流れないと何事も起こらないと書きましたですね。
  この電流の流れを起こす元になる力が電圧なのです。電圧のことを電位差(標高差のようなもの)とも言い、これがなければ電流は流れません。
  二つの池を水路でむすんでも、落差がなければ水圧の差ができず水は流れないのと同じです。

  またまた理科の公式を書きますが、
電圧:ボルト)÷抵抗Ω:オーム)=電流:アンペア)
というのがあります。

  つまり、圧力を加えても抵抗が大きければスムーズに運べないということですから、世の中一般の法則と何も変わりません。

  抵抗が同じだと、電圧を上げれば上げるほどそれに比例して電流が増える理屈です。
人間の体は抵抗が大きいので、電池くらいの電圧(乾電池で1.5V、車のバッテリーで12V)ではほんの少ししか電流が流れないのでビリッとくることもないのですが、100Vにもなると電流が増えて感じるようになり、もっともっと増えると死ぬほどの破壊力をもつ量になる訳です。
   金属のように抵抗が小さいものは広い水路のように低い電圧でも沢山の電流が流れます。中でも銅は特に抵抗が少なく値段もほどほどで、細くても多くの電流が流せるので電線の材料に選ばれるわけです。

  ところで、セーターなどを脱ぐときにパチッとくるあのいやな静電気は何ボルト位あるでしょう?
  これが実に何万ボルトという高い電圧なんですが、だとするともっと感電がひどくて死ぬかもしれないのにおかしいですね。
  理由は、実行犯の電流がほんの一瞬だけ流れて終わりだからです。
  ため池がすごく高いところにあって水圧は大きくても、小さなプールほどしかなければ、決壊しても水害にはなりません。急流がかなりの時間続くことによって大きな破壊力を生ずるわけです。

  第一話と二話で書いた、二つの式は電気の計算のいちばん元になる公式です。なんとなく分かりましたでしょうか?


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第11回:電気の通り道/その1(01/01/27)

前回の話で、人間の体には電流が流れても金属のように沢山は流れないということでしたが、他のものについてはどうでしょうか?

  同じ金属でも、金、銀、銅アルミは電気をよく通しますが、ニクロム線(ニッケルとクロムの合金)やヒューズに使われる、電球のフィラメントに使われているタングステンなどはそれらに比べ電気抵抗が大きいことは割合に知られています。
  では身の回りにある金属以外の固形のものはどうかというと、例えば紙や布や木材、ゴム、ガラス、プラスチックなど、どれも電気抵抗が大きく触ってビリッとくる心配がないものばかりです。 液体となると、油は抵抗が大きいのですがは少しややこしくなります。純粋な場合は殆ど電気を通さないのに何かが入ると、溶けているものやその量によってずいぶん電気が通るようになってしまうのです。 ということでこれらを分類し、電気を良く通すものを導電体か良導体(コンダクター:conducutor)、殆ど通さないものを絶縁体(インシュレーター:insulator)と言い、その中間のものが抵抗体(レジスター:resistor)ということになります。

  ところで、最近何かと話題の半導体(セミコンダクター、略してセミコン)っていうのは一体何なんでしょうか?
  一言でいうと「一方通行」のようなものです。
  警察の肩を持つわけではありませんが、これのお陰で交通整理がうんとやり易くなるのです。好き勝手に通れないように上手に配置すれば、うまい具合に流れをコントロールできるのです。
  「通行止め」だけでは役者が足りません。
  さてこの半導体ですが、これまた沢山の兄弟がいるので大まかに三つに分けましょう。

  入口と出口が一つづつしか無いいちばん単純なのをダイオードと言い、これが半導体の最小単位です。(ルーツをたどれば、ゲルマニウムとか鉱石とか二極管・・・有りましたね。なつかしい方はかなりの年配です。)

  入口と出口の中ほどに扉を作って、開け方により通行量を加減できるようにしてあるのがトランジスターです。扉を開け閉めする番人用の勝手口がもう一つ付いています。

  トランジスターとよく似ていて、途中の扉を一杯開けるか完全に閉めるかどっちかしか出来ないスイッチのようなタイプがあるのですが、これをサイリスターと言います。これにも勝手口があります。

  これらを更に細かく分けたり、いろいろ組み合わせたもの(ICLSI)など膨大な種類がありますが、基本はこの三つです。
  昔は二極管、三極管、サイラトロンと言う真空管がそれぞれ同じ役割を果たしていたのですが、どんなところでどんなふうに使われるのかはまた別の回で話したいと思います。

次回は上の「通行止め」について書くことにしましょう。


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第12回:電気の通り道/その2(01/02/15)

  一方通行よりも原始的な交通整理の手段は通行止めやを設置して流れを規制する方法です。

  電気が世の中で使われ始めた大昔からあるのが、パチンとかカシャッとか人の手で直接電気を入り切りする普通のスイッチです。 スイッチの中でくっ付いたり離れたりして接触する部分を「接点」、横文字で「コンタクト」と呼び、電線と同じ銅や、銅に他の金属を加えて長持ちするように改良した合金などが使われています。
  ところがこの頃は、家にある電子レンジや銀行のお金を出し入れする機械の画面、ビルのエレベーターなどいろんなところで、軽くピッと触るだけのタイプが増えてきました。
  これらはどんな仕組みで電気の通り道を開け閉めしているのでしょうか?

  少しややこしくなるのですが、第7回で書いた電気の種類を思い出してください。通信用駆動用がありましたが、実はこの二つを組み合わせて使っているのです。手で操作するすぐ後ろ側に駆動用の大きい電気が流れているのではなく、通信を利用してリモコン式に離れたところで開け閉めしているのです。   昔はこの通信用の電気と駆動用の電気がはっきり区別されてなかったのですが、現代は電気も役割分担が進み、目的や段階に応じて細かく分けられ、それぞれに最も都合のいい方法が使われるようになってきました。特に通信用の電気は進歩が目覚しく、複雑で危険なことをいかに安全に確実に誰にでも出来るようにするかを目標に技術が開発されてきました。ジャンボ機が空を飛べるのも、危なっかしいおばちゃんが平気で高速道路を走れるのもそのお陰ですね。
  本題に戻りますが、スイッチは人の手で直接開け閉めするものばかりではなく、上に書いた通信という中つぎを使って操作するものが今は多くなりました。その中でいちばん歴史の古いのが「リレー」という電気部品です。   電磁石の吸引力を利用してスイッチの接点同士をくっ付ける仕掛けになっています。電磁石をオフにすれば、ばねの力で元に戻りスイッチが切れます。   電磁石の巻線に流す信号用の電気の接続口を入力端子、開閉する接点への接続口を出力端子と呼びます。
  つまり人の手の代わりに、電気を使って電気を入り切りするための部品なんですが、なぜこんな二度手間なことをするのでしょう。
  主な御利やくをあげてみましょう。

  1. 信号用の小さな電気で、駆動用の大きい電気を入り切り出来る。
    つまり太い電線をいちいち手元まで引っ張って来なくてよいので、無駄も出ず安全になる。

  2. 一つの信号で多くのリレーを動かせば、いろいろなスイッチを一斉に入り切り出来る。

  3. リレーを使ってまた別のリレーを動かすなど、うまく電気回路を組み合わせると、二人の人が同時にボタンを押さなければ動かせないようにしたり、停電が回復したとき急にモーターが回りださないようにしたり、いろいろな条件を付けたり対策を施すことができる。

どうやら二回で終われなくなってしまいました。このタイトルもう一回やりますのでよろしく・・・。


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第13回:電気の通り道/その3(01/03/07)

  前回の話で、普通のスイッチやリレーは接点という金属そのものがくっ付いたり離れたりして電気を入り切りするのは分かりましたが、ピッと触るスイッチの中はどんな具合になっているのでしょうか?

  半導体の種類の中に、スイッチのように扉を開閉できるサイリスターと言うのがあるとその一で書きましたですね。もちろん実際にはミニ扉が付いているわけではなく、半導体材料の板を貼り合わせただけの固形物なんですが、入口出口の他にもう一つ、扉にちなんで「ゲート」と名付けられた電気の接続口があります。

  普通の状態では入口と出口の間は抵抗が大きく電気が通れないようになっているのですが、このゲートある大きさ以上の電圧を与えてやると一瞬にして抵抗が無くなり、通り道がつながってしまうのです。 何も動くものがないのに接点と同じ役目を果たすことからこれを「無接点」、普通のものを「有接点」と呼んでいます。 つまりサイリスターはリレーと同じ働きをする無接点の電気部品ということで、ケースに収められたものがソリッドステートリレーとか半導体リレーとかの名前で売られています。

  サイリスターの他にも無接点のスイッチには沢山の仲間があり、ゲートに電圧を与える代わりに手で触って反応させるもの、明るさ温度接近距離磁石に応答するものなどいろいろ有ります。それらを一切合切含め、何かに反応するスイッチをリレーと区別して一般に「センサー」と呼びます。
  そして有接点も無接点も電気を入り切りすること全部を専門用語で「スイッチング」と言います。

  ところで、この無接点の半導体スイッチのいったいどこが優れているのでしょうか?
  1. 動く部分がないので磨耗で駄目になることがなく、音も出ず半永久的に使え、サイズも小さく、安く大量生産ができる。

  2. 同じく接点を動かすエネルギーが要らないため、開閉に必要な消費電力が非常に小さくてすむ。

  3. どんな大きな駆動用の電気を入り切りするものでも、とてつもない高速(例えば、一秒間に百万回!)でスイッチングできる。ここは大切なポイントです。このお陰でNC工作機械が千分の1ミリ単位の位置決めを秒速1メートルと言うとんでもない速さで出来るようになったのです。

  2は言われなくてもご存知ですね。では、良いことばかりで短所はないのでしょうか?それではリレー君の立場がなくなってしまいますね。
  1. ほんの一瞬、許容量を超える電流が流れただけでいとも簡単に壊れてしまう。つまり無理が効かないので、いろいろと厳重に保護してやらなければならない。

  2. 直流、交流、信号用それぞれに適したタイプと使い方をしないと全く働かず、有接点のように一種類で何でもOKという訳にはいかない。

  3. 音もせず見えもせず、動作したかどうかさっぱり分からない。見るためには確認用のランプが別に必要になる。

  考えてみると半導体って言うのは、実に優等生ですね。
通り道には、他にもいろいろな障害物迷路があるのですが、きりがないのでこのタイトルはこれで終わりにします。お疲れ様でした。


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第14回:交流と直流(01/03/29)

―電気に隙なし、始めもなければ終わりもなし。―

  まるで禅問答のようですが、皆さんは電気の流れをどのようにイメージされているでしょうか?

  大抵の人は、プラス端子から何か小さい粒が次々と飛び出して電線の中を流れて行き、電球のフィラメントなどを通って最後にマイナス端子に流れ込む・・・というような感覚ではないでしょうか?

  では質問をしてみましょう。
  1. プラス端子の内側にはたくさんの粒々が貯えてあるのでしょうか?

  2. 電気の速さも光と同じというからには、そんなすごいスピードで粒が流れているのでしょうか?

  3. 長い道のりだと、途中で粒が減ったりしないのでしょうか?

  実はどれも答えは「否」なんです。 電気の正体は、何か特別な粒が流れているのではなく、どんな物にも始めから詰め込まれているたくさんの電子粒が移動していく現象なのです。通路はどこも満員ですから、入口から十人押し込めば出口から十人出なければなりません。出る量の合計と入る量の合計はいつでもどこでも等しいという「キルヒホッフの法則」がこれです。電気の伝わる速さは一列に並べたパチンコ玉の端っこに別の玉をぶつけたとき、反対側の玉が飛び出すまでの時間差のようなものですからとても短いわけです。導電体は粒々がさらっとした液に浸っているので圧力がかかると簡単に移動するのですが、抵抗体ではねばねばした液になり、絶縁体は液が固まった状態と思えばよいでしょう。

電流は心臓というポンプから出た血液がいろいろな道筋をたどっても結局は同じ量だけ元へ戻ってくるように循環しています。電池は例えてみればゼンマイ仕掛けのポンプのようなものです。別の電圧を利用して流れを逆流させ、ポンプを反対に回してほどけたゼンマイを巻くのが充電です。

以上が流れの方向が決まっている直流の理屈ですが、これに対して交流の発電機はピストンポンプの往復運動をそのまま流れに変えるようなものです。ポンプを動かす力は、人力でも風力でも、原子力の熱で沸かした蒸気を吹き付けてプロペラを回す大仕掛けなものまでいろいろ考えられます。

交流一定のリズムで往復の流れを起こす人工的に作り出された電気のことですが、電池もなく携帯もできないのに、一体何が都合がよいのでしょうか?
  1. 一番便利なのは変圧が簡単なことです。鉄の心棒の周りに電線を百回巻いて千ボルトの電気を流し、その上に重ねて別の電線を十回を巻いておけば、何もつながっていないのに巻数に比例した百ボルトの電圧がそこから出てくるのです。電流は逆に十倍に増えて、この仕掛けをトランス(=変圧器)と言います。高圧で電流を少なくして細い電線で電気を送り、使う手前で低圧に落とせばとても効率的に電気を運べるのですが、直流にはこれが出来ません。

  2. 次に具合がいいのは明石海峡のように、流れの向きが入れ替わる瞬間に必ず電流が止まるため、スイッチを切ったときに出る火花が尾を引きにくく接点の負担が楽になることです。

  3. 交流には誘導抵抗(=リアクタンス)という通り道の太さに関係のない電気抵抗がいやでも残るため、暴走による危険が減ります。(理屈は少々難しいですが・・・)

そしてこの電源用の交流には、2本線の単相と3本線の三相と二つの種類があります。

単相は二本の電線間の電圧が一秒間に60回か50回、波のように上下入れ替わるだけですが、三相の場合はAとBBとCCとAの線の間の高低差がそれぞれメリーゴーランドの馬のように順繰りに等間隔で移り替わるようになっています。 三相電源は、理論的に送電の効率が良くなるのと、力の強いモーターを簡単に作れるのが特長で、工場では普通これを使います。

家庭で使う百ボルトの電気は見てのとおり全部単相ですが、電柱で変圧する所までは三本で運んできて、その内の適当な二本を選んで使っているのです。

さて残るは直流ですが、これはプラスとマイナス一本づつしかありません。 通信や精密な駆動に使うための元電源は、動作を安定させることが何より肝心ですから、電圧にでこぼこの出ない綺麗な直流を確保するのがまず最初の仕事です。電力が小さい場合は電池が使えますが、大きくなるとそうもいかないので先の交流電源を直流に変換します(=整流)。 通り道の途中にダイオードのような一方通行を仕組み、流れの方向を規制して直流にしますが、このままではでこぼこが残るので、バネやショックアブソーバーで吸収するのと似たようなやり方で平坦にならしてから使います。
ずいぶん字数が増えてしまいましたが、最後までお付き合いいただけましたでしょうか?


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第15回:アナログとデジタル(01/04/18)

イチからスタート?ゼロからスタート? はて何の話?―

  私、1999年の頃は今年が二十世紀最後の年とばかり思い込んでいたのですが、去年のお正月を過ぎてからやっと、「なんだもう一年あったのか」・・・他にも誰か・・・と思ったら、同じような人がいてホッとしました。

  「イチ」からがスタートなんですね。 練習生を並べ「番号!」と号令をかけても、最初に「ゼロッ!」とは誰も言いません。 アナログ世界の一つの例です。

  その昔インド人が発見したと言われる「ゼロ」は、後の数字とは全く違う扱いをしなくてはいけないのだそうです。 何を掛けてもゼロのまま変化しないとか、ゼロで割ることは出来ないとか、どんな数字のゼロ乗も答はみな1になる・・・などなど。

  デジタルは「1」と「0」だけの世界です・・・とあちこちで書かれていますが、考えてみるとここでは「1」と「0」は対等の扱いなんですね。 YESかNOか、男か女か、有か無か・・・みたいな関係です。 「やや・・・」とか「限りなく・・・」とか言うアバウトさは全く許されず、常に二者択一です。 そしてデジタル処理の世界では、必ず「ゼロ」からスタートになり、十進法を使う場合でも、0〜99、100〜199、200〜299、・・・、2000〜2099のように区切られます。

けっこう紛らわしい話ですが、電気の世界では何がどう違うのでしょうか?


一言でいえば信号の伝達や保存を、アナログは形の状態で処理し、デジタルは数に置き換えて処理するということですが、具体的に話さないと何のことだかサッパリ分からないですね。 つまり、音や映像など実際に人が見聞きする部分は、明るい暗い、大きい小さい、高い低い、・・・など何か形らしきものでないと人間は感じることができませんが、そこさえ押さえておけば途中の通信や保存はどんなやり方でもよいと言う理屈です。

例えば一曲の音楽を届ける場合、アナログは最初から最後まで元の形をくずさないように気を使いながら運ぶ伝統的な方法をとります。 音の大小(音色)は電気に移し変えてからも、電圧や電流の大小で微妙な比例関係を保持させてますから、途中の環境による変質を完全には防げません。特に小さい電流で送っている時は雑音が入りやすいので厄介です。

これに対しデジタルは曲を時間で細かく(何千から何万分の一秒単位で)分割し完全にみじん切りにした状態で目的地に送り、そこで再び元の形に戻すやり方を取ります。 各細切れの内容(音の大小)は、決めておいた等級のどこに当てはまるかを分割と同時に、二進法と言う「1」か「0」、つまりオンかオフを並べただけの単純で判別しやすい信号に直して送りますが、どんなにスピードを上げてもお互いにタイミングを合わせ確認しながら受け渡しするため、小さい電流でも完璧に正確に送れます。 そして分割や等級のきめを細かくすればするほど、みじん切り前に近いものが再現できる理屈になります。 みじん切りにする作業のことをアナログ/デジタルの頭文字を取って「AD変換」、戻す作業を「DA変換」と言い、正しくはこの間がデジタル処理であり、送ろうが保存しようがコピーしようがその間全く誤差を生じないところに最大の意味があります。 つまり音の質を左右するのは、変換のきめ細かさと出入り口のマイクやスピーカーの能力次第で、道中のことは全く気にする必要がなくなる訳です。

さて、各細切れの内容を表す二進法の数字ですが、毎日使っている十進法とはどう違うのでしょうか。


「1」と「0」しか使えないわけですから、同じ数を表すにもずいぶん沢山の桁数が要るだろうなとは想像できますね。 十進法は二桁で00〜99の百種類の数を作れますが、二進法では、00、01、10、11のたった四種類しか作れません。 同じように、三桁では種類、四桁で16、五桁で32、六桁で64、七桁で128、八桁で256・・・十桁で1024・・・二十四桁では1677万・・・の倍々ゲームです。 ところで皆さん、この数字どこかで見た覚えがありますね。 そうです、電気屋さんで売っているパソコン用メモリーの容量や画像の諧調、色数などがこれです。 十進法でいうと半端な数なんですが二進法では切りのいい数字になるのです。 デジタルの世界ではこのひとつを「ビット」と呼びます。 「8ビットで256種類を表示できます」ていう具合ですね。 そして、桁数が増えて困るときは十六進法が使われます。 0から9の上にABCDEFの六つを加えて表し、十六進法のF十進法の15、同じ様に10は161Fは3120は32になり、切りのよい数が二進法と同じになり具合がいいのです。 我々にはかえってややこしいだけですが、プログラムの世界では便利なのでこれよくを使います。
もちろん何でもデジタルがいい訳ではないのですが、その辺はまた別の機会に・・・では・・・


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